機能保証のためのリスクアセスメントのすゝめ
NCOがリスクアセスメント自主学習用コンテンツをリリース 2026年3月11日、国家サイバー統括室(...
門井 陽亮
情報事故報告の「義務化」“能動防御”時代が本格始動
日本政府は、サイバー空間上の脅威に対応するための取組を、今後5年の期間を念頭に実施する施策の目標や方針を定めた「サイバーセキュリティ戦略」を、令和7年12月に閣議決定した。深刻化する国家的サイバー攻撃への対抗措置として、サイバー対処能力強化法および同整備法を2026年10月から本格施行する。
電力・通信・金融をはじめとする基幹インフラ事業者には「特定重要電子計算機」の届出および特定侵害事象等の報告が義務化され、とりわけ重大な事象は今後「国家案件」として政府主導の共同対処が標準となる。企業は政府と連携しつつ、迅速に情報提供・封じ込め措置を行うことができる体制を整える必要がある。つまり、経営層の関与が不可避となり、政府への報告や共同対処を滞りなく行うための準備として、制度整備、体制の構築のほか、情報事故時の報告や国との共同対処時の手順を整備する等の改革も求められている。「情報セキュリティ対策はIT部門任せ」としていた企業では、経営者が全社横断的に即応可能なセキュリティガバナンスやマネジメント体制の早期整備を行うことが避けられない状況となった。
NCO「サイバー対処能力強化法及び同整備法」広報誌
「能動的サイバー防御」時代が本格始動
本法では、無害化措置などの“能動的サイバー防御”を実施可能な体制を構築する。警察と防衛省・自衛隊が連携し、攻撃段階での介入を行う仕組みが公式に位置づけられた点は、我が国のサイバー安全保障政策の歴史的転換点といえる。日本のサイバーセキュリティ政策を「受動的対処」から「能動的防御」へと180度転換させるものである。この転換により、単に防衛省や警察庁の権限強化にとどまらず、日本経済の隅々に至るまで、情報セキュリティを基軸とした新たな秩序が形成されることになる。
サイバーセキュリティ対策は、市場参加のための「ライセンス(免許)」
サイバーセキュリティ戦略では、重要インフラのみならず、サプライチェーン(以下SC)企業群の情報セキュリティ対策強化が明確に位置づけられた。取引先・パートナー企業にまで、対策強化が求められる。対策状況を評価するSCセキュリティ対策評価制度が26年度末頃に開始される予定であり、十分な対策を行わない企業は、SCから「リスク要因」として除外される可能性がある。つまり、情報セキュリティ対策は企業における市場参加要件となる。
新時代への転換が迫る中、準備がいまだ進んでいない企業は、早急に検討を始めることが求められる。迅速な対応が、今後の事業継続を左右する重要なターニングポイントとなりそうだ。