
一律値上げからリスク評価型へセキュリティ強化で保険も見直しを
サイバー攻撃増加の傍ら、保険料は据え置き
企業を狙ったランサムウェア攻撃等の増加により、サイバー保険の保険金支払額は高水準で推移している。
全米保険監督官協会(NAIC)によると、2024年のサイバー保険請求件数は約5万件と、前年から約40%増加した。一方で、市場では2023年まで続いた保険料引上げは落ち着きつつある。
日本市場は米国に比べ成熟度や普及率では遅れているものの、ランサムウェア被害の増加や引受条件の厳格化といった環境は共通し、中長期的には同様の傾向をたどる可能性がある。
背景には、保険会社による引受審査の厳格化がある。
多要素認証(MFA)や教育、バックアップ体制などの対策状況を重視し、リスクに応じた選別を進めることで収益改善を図っており、保険業界では一律値上げから各企業のリスクを評価し、保険料へ反映する形への移行が進んでいる。
米国サイバー保険:収入保険料の推移
- 2020年:40.7億ドル
- 2021年:65.4億ドル
- 2022年:96.9億ドル
- 2023年:98.4億ドル
- 2024年:91.4億ドル
出典:全米保険監督官協会(NAIC)
https://content.naic.org/sites/default/files/inline-files/2025_Cybersecurity_Insurance%20Report.pdf
保険会社が重視する対策項目とは
サイバー保険の引受審査で重視される対策は、多層防御の考え方に基づいている。
多要素認証(MFA)は、不正ログインやアカウント乗っ取りを防ぐ基本対策として高く評価される。
また、従業員向けのセキュリティ教育や標的型攻撃メール訓練などを定期的に実施し、人的リスクの低減を図る取り組みに加え、ランサムウェア被害後の事業継続性を確保するために実施する定期的なバックアップ取得や復旧手順の整備も、多層防御を実現する手段として重要視される。
保険会社が重視する対策(例)
- 情報セキュリティルールの有無(インシデント対応ルール含む)
- 従業員への研修・訓練
- CSIRT体制
- 多要素認証(MFA)の導入
- EDR/ウイルス対策ソフトの導入・パッチ管理
- バックアップ/復元テストの実施
サイバー保険既契約者も定期的なアップデートを
サイバー保険契約者にとって、セキュリティ対策の強化が保険料改善につながることは今や常識だ。
人間ドックのように定期的な診断を受ける感覚で、セキュリティと保険の両輪で相談ができる専門家とともに現状を見直し、最新リスクに応じた対策と保険内容を継続的に点検・必要に応じたアップデートをすることが重要となっている。

